奨学金について考えてみる(子どもの将来のために30代から考えてみる)
奨学金で代表的な機構として日本学生支援機構があります。
同機構の平成29年3月の奨学金貸付割合は、平成17年は4人に1人だったが、2.6人に1人まで増加しています。
また、労働者福祉中央協議会の奨学金に関するアンケートを実施したところ、34歳以下の奨学金利用者は2人に1人となっています。
1、奨学金の目的
文部科学省の「学校基本調査」によると、高校を卒業した学生の7割が大学、短大、専門学校などに進学しています。
一方で大学の学費は上昇を続けており、私立大学では年間授業料だけを確認しても、文系で約100万円程度、理系では150万円程度(入学料や受験料は含まず)になってきています。
これだけ高騰しているため、学生が経済的な理由で進学を諦めないように、在学中に必要な学費や生活費を支援する制度が奨学金です。
奨学金には、返還義務のない給付型と返還義務のある貸与型がありますが、日本の奨学金のほとんどは貸与型です。
貸与型の奨学金は、学生時代に受け取った金額を働いて返す必要があります。
つまり、学生自身が借金をすることにほかなりません。
2、奨学金を利用するご家庭が増えた理由を考えてみる
なぜ、こんなにも奨学金を利用するご家庭が増えてしまったのでしょうか。
まず考えられることは、国立私立大学共に高騰している学費が影響していると思われます。
文部科学省によると、1983年の入学金+年間授業料は以下の通りです。
国立大学 333,600円
私立大学 652,000円
それが、2011年の入学金+年間授業料は以下の通りです。
国立大学 817,800円
私立大学 1,127,000円
2017年の入学金+年間授業料は以下の通りです。
※2017年分は日本政策金融公庫「平成29年度 教育負担の実態調査」を基に記載します
国立大学 1,777,000円
私立大学 2,542,000円
35年前比べると、授業料は4倍以上も高くなっています。
これだけ高騰しているだけに、授業料の支払いが厳しくなっても仕方がないかもしれません。
ただ、今では、ありがたい制度があります。
児童手当です。
児童手当は、中学校卒業前(15歳に到達した年度の3月31日まで)の子どもを持つ親がトータルでざっくり200万円前後が貰えます。
200万円をまるまる貯蓄することができれば、初年度(入学金と1年目の授業料)は国立は賄うことができ、私立は若干不足しますが大半を賄うことができます。
みんなが200万円前後の手当てを受け取ることができるにも関わらず奨学金を利用する理由は他にもあるかもしれません。
次に考えられることは、学校外活動費の負担増です。
学校外活動費とは、つまり塾やスイミングなどの習い事です。
内閣府が公表している平成27年版子供・若者白書によると、小学生の塾や習い事に行っている割合は小学生1~3年生で44.0%で小学生4~6年生で53.6%になっています。
続いて、文部科学省が公表している最新の「平成28年度子どもの学習費調査結果」を調べてみますと、以下のことがわかります。
<公立小学校の学校外活動費>
年間で218,000円
6年間で1,308,000円
<私立小学校の学校外活動費>
年間で613,000円
6年間で3,678,000円
<公立中学校の学校外活動費>
年間で301,000円
3年間で903,000円
<私立中学校の学校外活動費>
年間で321,000円
3年間で963,000円
<公立高等学校の学校外活動費>
年間で175,000円
3年間で525,000円
<私立高等学校の学校外活動費>
年間で285,000円
3年間で855,000円
以上のことから、ALL公立で小学生から高校までにかかる塾や習い事はトータルで2,736,000円となります。
ただ、これは1人の子どもに対しての費用になりますので、子どもが増えて、全員に同じような習い事をするようでしたらびっくりするような金額になってしまいます。
児童手当以上の金額を学校外活動費に使ってしまうという事が分かります。
我が家は2人の小学生がいますが、2人で月15,000円の習い事費用を使っています。
2人で1年間で180,000円になります。
6年間続けると1,080,000円になるため、結構な金額になることが分かります。
2人に1人が学校外活動をしていることから、多くのご家庭で児童手当が塾や習い事に使われている可能性が高いことが分かります。
子どもの将来の可能性を信じて、小さい頃から習い事を盛んにやっていることが分かります。
最後に考えられることは、親の収入減が考えられます。
国税庁によると、民間企業で働く人の平均年収が1997年度の467万円をピークに減少を続けています。
2012年には408万円まで減少をしています。
ただ、2013年からは少しづつ上昇をして、2017年は432万円になっています。
上昇と言っても、20年前の水準には戻っていません。
※非正社員/女性も含んだ平均年収になります
実際、日々の生活費の節約など、必死でやり繰りされているご家庭が多いと思います。
「学費の高騰」と「家庭の収入減」。
収入減の状態でも、お子さんの将来を信じて習い事に一生懸命なことが今までの国の調査結果から分かります。
今のままでは、保護者の収入や貯蓄だけではお子さんの大学進学費用を賄うことが難しい時代になっています。
その結果、2人に1人が奨学金を利用するということになっています。
3、奨学金の平均借入金額
借入金は平均312万円です。
月々の返還額は平均して1.7万円です。
返還期間は平均で14.1年。
23歳で大学を卒業した場合、37歳まで毎月約1.7万円、年間で約20万円返還が必要となります。
当然かもしれませんが、4割弱が返済が「苦しい」と回答。
非正規労働者の場合、半数以上(56%)が「苦しい」と調査結果が出ています。
4、奨学金を借りた後の意識調査
奨学金のリスクについて 4割強が理解していない
結婚やマイホームへの影響 3割がありと回答
仕事の選択肢に影響 2割がありと回答
子育て/出産に影響 2割がありと回答
奨学金の返済は原則、借りた学生本人になっています。
借りる前に、学生本人も十分に理解する必要があります。
5、まとめ
奨学金と言っても、結局は借金です。
月約2万となると実家暮らしでも厳しい出費には変わりがありません。
奨学金を借りた段階で大学卒業後に安定した収入があるとは言えません。
正社員として安定した収入があれば何とかなるかもしれませんが、でも、これだけ非正社員数が多くなっている現在、将来のことは誰にも分かりません。
奨学金のリスクを把握していない調査結果がでていることから、安易に奨学金に手を出す傾向にありますが、借りる前に返済のこともしっかり考える必要があると思います。
借りないことが一番なのですが、この時代、なかなか厳しい現状でもあるかもしれません。
6、我が家が取り組んだ内容
我が家は32歳の時にマイホームを購入して貯金がなくなりました。
幸い、マイナス(住宅ローン)からのスタートではなく、キャッシュで購入してますのでほぼ0円から貯蓄を開始しています。
0円からスタートして9年経過した現在(41歳)、それなりの貯蓄ができています。
奨学金を借りる必要も今のところありません。
我が家が取り組んできた内容はまとまり次第、記事にしていきます。
7、参考記事
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